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資金決済法等に基づく表示とは

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「新しいアプリを使おうとしたら、「資金決済法等に基づく表示」が表示された。
何が書いてあるかよくわからない」

「資金決済法等に基づく表示」は、資金決済法という法律によって、サービスを提供する側が示さなければならない情報です。
利用者にとって大切な情報も載っています。

このページでは、「資金決済法等に基づく表示」を解説します。

「資金決済法に基づく表示」とは何か

アプリやWebサービスで表示される「資金決済法に基づく表示」は、資金決済法という法律で決められた情報を、利用者に示すためのページです。

資金決済に関する法律

この法律は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引、暗号資産の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び利便性の向上に資することを目的とする。

第一章 総則(目的)第一条 より

資金決済法は、資金決済システムの安全性・効率性・利便性を上げることを目的とした法律です。

アプリやWebサービスで以下の3つを行うときには、必要な情報の提示が必須となります。

  1. 前払式支払手段の発行
    →商品券やネット上で使えるプリペイドカードを買う場合 など
  2. 銀行等以外の者が行う為替取引
    →アプリ内通貨を送金する場合 など
  3. 暗号資産の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算
    →仮想通貨で取引をする場合 など

①「資金決済法に基づく表示」に必要な情報

前払式支払手段を発行する人や会社は、法律で定められた情報を利用者に示す必要があります。
そのためにあるのが「資金決済法に基づく表示」のページです。

利用者の保護等に関する措置

第十三条 前払式支払手段発行者は、前払式支払手段を発行する場合には、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項に関する情報を利用者に提供しなければならない。

一 氏名、商号又は名称
二 前払式支払手段の支払可能金額等
三 物品の購入若しくは借受けを行い、若しくは役務の提供を受ける場合にこれらの代価の弁済のために使用し、又は物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限が設けられているときは、当該期間又は期限
四 前払式支払手段の発行及び利用に関する利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先
五 その他内閣府令で定める事項

第四節 業務(利用者の保護等に関する措置)第十三条 より

情報提供する事項等

第二十二条 法第十三条第一項各号に掲げる事項は、前払式支払手段を一般に購入し、又は使用する者が読みやすく、理解しやすいような用語により、正確に情報を提供しなければならない。ただし、専ら贈答用のために購入される前払式支払手段(前条第二項各号に掲げる方法により情報を提供する前払式支払手段を除く。)のうちその購入の目的に合わせて支払可能金額等を明示しないこととしているものに係る法第十三条第一項第二号に掲げる支払可能金額等については、符号、図画その他の方法により情報を提供することで足りる。

2 法第十三条第一項第五号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

一 前払式支払手段を使用することができる施設又は場所の範囲
二 前払式支払手段の利用上の必要な注意
三 電磁的方法により金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第四項において同じ。)又は物品若しくは役務の数量を記録している前払式支払手段にあっては、その未使用残高(法第三条第一項第一号の前払式支払手段にあっては代価の弁済に充てることができる金額をいい、同項第二号の前払式支払手段にあっては給付又は提供を請求することができる物品又は役務の数量をいう。第二十三条の三第一号において同じ。)又は当該未使用残高を知ることができる方法
四 前払式支払手段の利用に係る約款若しくは説明書又はこれらに類する書面(以下この条において「約款等」という。)が存する場合には、当該約款等の存する旨

前払式支払手段に関する内閣府令 第四章 業務 第二十二条 より

2つの法律に書かれた「提示が必要な情報」は以下の8項目です。

「資金決済法に基づく表示」で載せなくてはならない項目
  1. 氏名、商号又は名称
  2. 前払式支払手段の支払可能金額
  3. 物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限
  4. 利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先
  5. 前払式支払手段を使用することができる施設又は場所の範囲
  6. 前払式支払手段の利用上の必要な注意
  7. 未使用残高又は当該未使用残高を知ることができる方法
  8. 約款若しくは説明書又はこれらに類する書面が存する場合には、当該約款等の存する旨

(1)氏名、商号又は名称

発行している個人や会社の名前です。

(2)前払式支払手段の支払可能金額等

前払式支払手段を買ったり使ったりするにあたっての上限を示します。

  • 一度に購入できる上限額や数量の限界
  • 1カ月あたりに購入できる上限額や数量の限界
  • 1回あたりに使える上限額や数量の限界
  • 利用者の年齢による制限
     (18歳未満は〇〇円分まで など)

(3)物品の給付若しくは役務の提供を請求することができる期間又は期限

前払式支払手段を持ち続けたり、それによってサービスのランクなどを得たりできる期間や期限です。

  • 前払式支払手段の保有期間
  • 前払式支払手段の失効期限
  • 前払式支払手段の保有で得たランクなどがいつ失効するか

(4)利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所又は事務所の所在地及び連絡先

利用者からの苦情や相談に対応する、営業所や事業所の所在地と電話番号です。
アプリやサービスで、前払式支払手段にまつわるトラブルがあった場合は、ここに載っている電話番号等に相談することになります。

(5)前払式支払手段を使用することができる施設又は場所の範囲

前払式支払手段を使えるアプリ・サービスはどれなのか明記します。
特定の施設でしか使えないアプリ内通貨などの場合、施設名もここに書かれます。

(6)前払式支払手段の利用上の必要な注意

アプリ・サービスからの返金ができないことや、サービスが終わる場合の扱いなどが書かれます。

詳しく書かれた別のページにリンクされている場合もあります。

(7)未使用残高又は当該未使用残高を知ることができる方法

購入してまだ使っていない前払式支払手段の残高を、どこで確認できるか示します。

(8)約款若しくは説明書又はこれらに類する書面が存する場合には、当該約款等の存する旨

アプリやサービスの説明書がある場合には、明記しておく必要があります。
利用規約などのリンクが貼られていることが多いです。

★法律に指定はありませんが、前払式支払手段の名称(ポイントやサービスの固有名)が記載されていることも多いです。

②前払式支払手段の発行

前払式支払手段とは、商品券・プリペイドカードなど、以下4つの条件にすべて当てはまる決済手段のことです。

  1. 金額・サービスの数量(個数や本数など)が、記載されているか、データとして記録されていること。
    例①商品券に金額が書かれている
    例②アプリ内に金額の表示がある
  2. 記載・記録されている金額、または物やサービスの数量に応じた対価が支払われている
    例①アプリ内に表示された金額と同額をコンビニで支払って、プリペイドカードを買っている
  3. 金額やサービスの数量(個数など)が、記載されているかデータとして記録されている証票・財産的価値と結びつけられた番号記号などが発行されている
    例①支払った金額に応じた商品券が発行される
    例②支払った金額に応じた、プリペイドカードの番号が発行される
  4. 物を購入するときやサービスを受けるときに、証票や番号や記号などが、提示・交付・通知といった方法で使用できる
    例①商品券を店員さんに渡して利用できる
    例②プリペイドカードの番号を入力し、ゲームなどを購入できる

「資金決済法に基づく表示」は、前払式支払手段が発行されるとき必要になります。

③銀行等以外の者が行う為替取引

為替取引とは、現金でない状態でお金のやり取りをすることです。
国内で行われるものを内国為替、通貨を交換しつつ外国と行うものを外国為替と呼びます。

この為替取引を、銀行等以外がすることは法律で禁止されています。
(銀行法)
ただし、別の法律(資金決済法)によって、金融庁の登録を受けた資金移動業者であれば、為替取引をしてもよいことになっているのです。

銀行等以外の者が行う為替取引の例
 (インターネット・モバイル型)

資金移動業者のWebサイトに
アカウントを作る
銀行口座の情報を登録
銀行口座の預金から
アカウント内の残高に変換
相手のアカウントに残高を送る
相手がアカウントの残高から
銀行口座の預金に変換
相手がお金を受け取る

資金移動業者は、利用者がアカウントを作る前に「資金決済法に基づく表示」を見せなくてはなりません

④暗号資産の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算

暗号資産とは、電子データ上の財産です。
資金決済法第二条では、以下のように定められています。

  • 物を買ったり仕事をしたりしたときに対価として受け取ることができる
  • 不特定の相手と売り買いができる
  • 物や仕事を買うために使える
  • 電子情報として受け渡しができる
暗号資産の定義

5 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

資金決済に関する法律 第二条 より

物や仕事と交換するためには、暗号資産を提供する業者のWebサイトやアプリなどに、アカウントを登録する必要があります。

その前に、提供元は「資金決済法に基づく表示」を提示しなくてはなりません。

★「銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算」は、普段アプリやサービスを利用しているときには、ほぼ関わることはありません。

銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算

為替取引は、現金を使わないお金の受け渡しのことです。
複数の銀行をまたいで為替取引をした場合、銀行同士でお金の貸し借りが発生することになります。

2つの銀行を通して為替取引をする例

A銀行からB銀行に
1万円振り込む手続きをする
A銀行の口座に1万円を預ける
A銀行からB銀行に
『1万円が振り込まれた』データが送られる
A銀行はB銀行に
1万円を代わりに払ってもらった状態
B銀行の口座残高が1万円増えて
引き出せるようになる

この例では、A銀行はB銀行に対して債務を負っています。

銀行などの間でお金が移動したときに発生する債務は、1日に1回、各銀行が日本銀行に預けた金額を増減することで、まとめて精算されます。
これを資金清算と呼び、内閣総理大臣の免許を受けた業者でなければすることができません。
(2022年10月現在、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワークのみ)

この清算時にも「資金決済法に基づく表示」が必要になります。

「資金決済法に基づく表示」はお金を払う時点で確認できなければならない

「資金決済法に基づく表示」は、プリペイドカードやアプリ内通貨の発行に際して表示されます。
お店での支払い、インターネットバンキングの振込など、お金のやり取りをする前には、確認できていなければいけない情報なのです。

また、「前払式支払手段に関する内閣府令」では、「資金決済法に基づく表示」についてより細かく定められています。

前払式支払手段の発行のときには、資金決済法で決められた情報を、その前払式支払手段に表示する方法により、利用者に提供しなければいけません。

  • 前払式支払手段と一体となって渡される書面その他の物
    例①商品券
  • 利用者の使う電子機器のファイル
    例②アプリ内の画面
  • 利用者の使う電子機器のファイルからアクセスできる別ファイル
    例③アプリなどからアクセスできる別のアプリの画面
  • 利用者から見られるようにした、発行者の持つファイル
    例④アプリなどからアクセスできる業者のWebページ
情報の提供の方法

2 前払式支払手段発行者は、前払式支払手段を発行する場合(当該前払式支払手段に係る証票等又は当該前払式支払手段と一体となっている書面その他の物を利用者に対し交付することがない場合に限る。)には、法第十三条第一項各号に掲げる事項に関する情報を、次に掲げるいずれかの方法により、利用者に提供しなければならない。
一 前払式支払手段発行者の使用に係る電子機器と利用者の使用に係る電子機器とを接続する電気通信回線を通じて送信し、当該利用者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに記録する方法
二 前払式支払手段発行者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて利用者の閲覧に供し、当該利用者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
三 利用者の使用に係る電子機器に情報を記録するためのファイルが備えられていない場合に、前払式支払手段発行者の使用に係る電子機器に備えられたファイル(専ら利用者の用に供するものに限る。第四項第二号において「利用者ファイル」という。)に記録された当該情報を電気通信回線を通じて利用者の閲覧に供する方法

前払式支払手段に関する内閣府令 第二十一条 より

さらに、利用者に不利にならないよう、記録することができるようにするとも決められています。

  • アプリの画面などは印刷できければならない
    (スクリーンショットを禁止できない)
  • Webページなどは、利用者が見てから3か月間、消去・改変ができない
見出しタイトル

4 第二項各号に掲げる方法は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
一 第二項第一号又は第二号に掲げる方法にあっては、利用者がファイルへの記録を出力すること(当該記録を他の電子機器に送信することその他の方法を用いて出力することを含む。)により書面を作成することができるものであること。
二 第二項第三号に掲げる方法にあっては、利用者ファイルへの記録がされた情報を、当該利用者ファイルに記録された時から起算して三月間、消去し、又は改変できないものであること。

前払式支払手段に関する内閣府令 第二十一条 より

お金を払う画面が表示されるまでに、「資金決済法に基づく表示」がなかった場合、もしくは合っても記録ができなかった場合は、詐欺を疑うことができます。

まとめ

  • 「資金決済法に基づく表示」法律で決められた情報を、利用者に見せるためのページである
  1. 発行している個人や会社の名前
  2. 前払式支払手段を買ったり使ったりするにあたっての上限
  3. 前払式支払手段を持ち続けたり、それによってサービスのランクなどを得たりできる期間や期限
  4. 利用者からの苦情や相談に対応する、営業所や事業所の所在地と電話番号
  5. 前払式支払手段を使えるアプリ・サービスはどれなのか
  6. アプリ・サービスからの返金ができないことや、サービスが終わる場合の扱いなど
  7. 購入してまだ使っていない前払式支払手段の残高を、どこで確認できるか
  8. アプリやサービスの説明書があるか
    (利用規約へのリンクなど)
  • 「資金決済法に基づく表示」は、お金のやり取りをする前に確認できていなければいけない

難しい言葉が多くややこしい文章ではありますが、知識があるだけでも、安全に利用する助けになるはずです。

面倒だと読み飛ばさず、重要事項だけでも目を通してみて下さい。



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天野 伴 (税理士)税理士/お金管理と仕組み化の専門家 | 天野 伴
税理士事務所所長。企業向けの会計・税務業務のみならず「仕組み化」のコンサルティング業務も展開。家計管理のコツなど、時間と労力を掛けずに自然とお金が貯まる仕組みづくりを得意としている。著作『1行家計簿―――世界一かんたんにお金が貯まる本』他多数