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割賦販売法と過剰与信防止義務について

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カード払いや分割払いといった「後払い」は、多くのお店で利用できるとても身近な支払方法ですよね。
そんな「後払い」を安心して使うための法律が「割賦販売法」です。

今回は「割賦販売法」が、わたしたちの生活にどのように関わっているのか見ていきましょう。

そもそも割賦販売法とは?

それでは早速、割賦販売法の内容についてみていきましょう。

①割賦販売法とは安心してカード払いや分割払いを利用するための法律

割賦販売法とは、一言で言うと「消費者が安心してカード払いや分割払いを使うための法律」です。

例えばわたしたちが分割払いやボーナス払いを利用するために、確実に金利や手数料を確認できるのも「割賦販売法」があるおかげですね。

もちろんカード情報などの不正な利用や不正アクセスも、割賦販売法により厳しく禁じられています。

高額な商品を購入する際の「後払い」がここまで普及しているのは、この割賦販売法のおかげだと言ってよいでしょう。

★割賦販売法の対象は「2ヶ月を超える支払い」です。
カードの一回払いは割賦販売法の対象に含まれません。

②2018年の改正割賦販売法で、カード情報保護や不正使用への対策はさらに強化

割賦販売法は2018年に改正され、私たちがより安心して「後払い」を利用するための環境が整えられました。

割賦販売法の改正による、具体的な変化は以下の通りです。

改正割賦販売法の主な内容
  • 個別クレジット※を行う事業者をb登録制とし、行政が監督できる環境を整えた
  • 悪質な訪問販売が行われた場合などに、個別クレジット契約を解除した上ですでに支払ったお金の請求が可能になった
  • 過剰与信の防止(詳細後述
  • 2回払いも割賦販売法の対象となった
  • カード情報の漏洩や不正入手を犯した者が、刑事罰の対象になった

※商品の購入ごとに後払いの申し込みを行うこと

お買い物をする立場から見て、割賦販売法が改正されたことにデメリットはありません

私たちはこれまでよりも安心して、「後払い」を利用できるようになったと考えてよいでしょう。

過剰与信防止義務とは?

ここからは、2018年の割賦販売法の改正に伴い盛り込まれた「過剰与信防止義務」についてお話していきます。

①過剰与信防止義務とは、消費者の支払い能力を超えてカード等を使わせないためのルール

「過剰与信防止義務」とは、簡単に言うと「個人に後払いを使わせ過ぎない」ためのルールです。

実際のところ、自分の支払い能力を超えて後払い(特にリボ払い)を利用してしまい、後悔してしまう人は少なくありません。

割賦販売法の改正によりクレジット会社は「支払可能見込額」を調査し、その範囲内でのみリボ払いを含む「後払い」サービスを提供することが義務付けられました。

今でも「後払いを利用しすぎてしまう」という問題が完全に解消されたわけではないものの、以前に比べて「リボ払いで自己破産」といった問題が生じづらくなったことは確かでしょう。

②「支払可能見込額」は年収や法律などをもとにクレジット会社が算出する

「支払可能見込額」とは利用者が、日常の生活を維持しながら支払いを続けられると見込まれる1年あたりの金額のことで、クレジット会社が審査を通して計算します。

支払可能見込額の計算方法

年収
-1年間の「後払い」請求予定額
-法律で定められた生活維持費※
※法律で定められた生活維持費
住宅ローンまたは賃貸の負担なし住宅ローンまたは賃貸の負担あり
世帯人数
1人
90万円116万円
2人136万円177万円
3人169万円209万円
4人以上200万円240万円

例えば年収300万円、かつ年間「後払い」請求予定額が20万円、家賃負担のある一人暮らしの方ならば、「300万円-20万円-116万円=164万円」が支払可能見込額となるわけですね。

そしてクレジット会社は、以下の基準に応じて「後払い」サービスを提供することになります。

支払可能見込額
個別クレジット
(商品1つに対する後払い)
支払可能見込額の100%以内
包括クレジット
(主にカードの、リボ払い利用可能枠など)
支払可能見込額の90%以内

例えば支払可能見込額が164万円の方なら、その9割にあたる147.6万円以上、リボ払いや分割払いを利用することはできないということになります。

一方で歯科クリニック、エステなどで使える個別クレジットであれば、支払可能見込額の満額にあたる164万円まで契約が可能ということになりますね。

★上に記載しているのはあくまで「法律で許された上限の金額」であり、実際の審査ではより小さな利用可能枠が設定されることが多いです。

③指定信用情報機関での「個人信用情報」の確認も必須

クレジット会社は審査の際などに必ず「個人信用情報」を確認する必要があります。

これは個人の「後払い」サービスの利用履歴のことで、一目で延滞の有無や「いつどこで、いくら支払わなければならないのか」が分かる仕組みとなっています。

クレジット会社が支払可能見込額を計算できるのも、この個人信用情報を通して「後払い」請求予定額を確認できるためですね。

個人に後払いを「利用させ過ぎない」ために個人信用情報の確認を義務付けるというのも、割賦販売法の大事な役割の一つとなっています。

過剰与信防止義務の例外について

後払いを「利用させ過ぎない」ための過剰与信防止義務ですが、あまりに基準が厳しいとかえって私たちの生活に不都合が生じます。

そのため、過剰与信防止義務には以下の例外が設けられています。

個別クレジットに関する例外措置
  • すぐに融資を受けられるカードローン会社かどうか
  • 複数の会社で借入していてもお金が借りられるか
  • 審査基準が比較的優しめのカードローン会社か
  • 審査基準が比較的優しめのカードローン会社か
包括クレジットに関する例外措置置
  • 限度額30万円以下のカードの発行
  • 特定の目的のための、カードの一時増額
    (海外旅行、引越費用、冠婚葬祭など)
  • カードの更新、再発行など

例えば支払可能見込額が164万円の方であっても、クレジット会社が認めれば個別クレジットに関する例外措置により200万円の自動車ローンを組める可能性がある、ということですね。

その他、年収が低い方がカードを作りたいという方であっても、限度額が30万円までであれば例外措置の対象となります。

★ただし法律が容認する内容であっても、カード会社の審査に通過できないと希望する契約を結ぶことはできません。

割賦販売法に基づくクーリング・オフ制度について

ここからは、割賦販売法に基づく「クーリング・オフ制度」について簡単に解説していきます。

①対象となるのは訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供(長期のサービス)など

割賦販売法においてクーリング・オフ制度、つまり申込みや契約の撤回の対象となるのは「訪問販売等」に限られます

ここで言う「訪問販売等」には訪問販売の他、電話販売やマルチ商法、特定継続的役務(エステ、外国語教室などの長期サービス)などが該当します。

一般的なカードの契約や分割払いの契約は、クーリング・オフの対象にはなりませんのでご注意ください。

また乗用自動車や葬儀は販売の形式にかかわらず、クーリング・オフの対象外です。
その他、化粧品や健康食品も使用済みの場合はクーリング・オフが適用されません

★ただしクーリング・オフの対象とならない場合であっても、お店の独自の返品制度などを利用できる場合はあります。

②クーリング・オフが可能な期間は8日または20日

訪問販売等において認められるクーリング・オフの期間は8日間です。

また特定継続的役務(エステ、外国語教室などの長期サービス)におけるクーリング・オフの期間は20日間となっています。

クーリング・オフを希望する消費者は、個別信用購入あっせん業者(この場合は分割払いを取り扱う業者)にのみクーリング・オフを通達することで、販売会社との契約も自動的に解消されます。

割賦販売法と過剰与信防止義務についてのまとめ

  • 割賦販売法とは、私たちが安心して「2ヶ月以上の後払い」を利用するための法律。
    この法律のおかげで事前に手数料を確認したり、決済に必要な個人情報を安心して提供することができる
  • 2018年の改正割賦販売法により、安心して後払いを利用するための制限はさらに強化。
    過剰与信防止義務の設定では、リボ払いなどの使いすぎを防ぐための対策が取られた
  • ただし生活に必要なものの後払い(自動車ローンを含む)や限度額30万円以下のカードの発行などは過剰与信防止義務の対象外
  • 割賦販売法の下でクーリング・オフの対象となるのは訪問販売や長期・高額のサービスに限られる

高額商品を安心して購入するための「割賦販売法」は、私たちの生活に深く関わりのある法律の一つです。

とは言え後払いには手数料の発生や支払い管理の問題がつきものですので、「本当に必要なものに対してのみ使う」ことを心がけられると良いですね。



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サイト監修

天野 伴 (税理士)税理士/お金管理と仕組み化の専門家 | 天野 伴
税理士事務所所長。企業向けの会計・税務業務のみならず「仕組み化」のコンサルティング業務も展開。家計管理のコツなど、時間と労力を掛けずに自然とお金が貯まる仕組みづくりを得意としている。著作『1行家計簿―――世界一かんたんにお金が貯まる本』他多数